臺灣

營造大學與地方的社群力:專訪暨南大學江大樹教授

大学と地方のコミュニティ力を築く:暨南大学・江大樹教授インタビュー
人物側寫 ( 人物プロフィール )
學校(学校) | 科技部人文創新與社會實踐計畫辦公室(科技部人文創新與社会実践計画辦公室(科技部人文イノベーション・社会実践プロジェクト事務局)) 作者(著者) | 郭怡棻
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前言
蹲在本壘板後的優秀捕手,總是穩健面向全場所有人,沉靜掌控比賽節奏,導引投手,指揮野手,適時提振士氣,讓團隊伙伴安心,令身後教練團放心。通常,他也把功勞歸給隊友,將責任留給自己。


ホームベースを守る優秀なキャッチャーとして、いつもゆったりグラウンドにいるすべての人を見回し、静かに試合のリズムを操り、投手をリードし、野手に指示を出し、時には士気を鼓舞し、チームメートに落ち着きを与え、後ろで見守るコーチに安心感を与える。彼はいつも、手柄は仲間のものとし、自らは責任を負っている。

大學的地方連結與社會實踐工作中,面對動態的地方社會和複雜的在地議題,很難隻身上場應戰,往往需要不同學科專業組成團隊,和地方伙伴協力出擊或防守。團隊組成後,如何經營與維繫,更考驗領導者的智慧與遠見。訪問國立暨南國際大學「人文創新與社會實踐計畫」主持人江大樹副校長時,就讓人觀察到帶領大學團隊的領導者,有如棒球隊裡的捕手,熟悉學校和場域生態,上下場指揮若定,穩定前線軍心與後方調度,為大學和地方伙伴關係配出一場又一場的好球。

大学が地方と連携して社会実践を行う場合、ダイナミックな地域社会と複雑な地元の問題に単独で対応することは難しい。ほとんどの場合、さまざまな学科の専門家がチームを編成し、地方のパートナーと攻守を共にする必要がある。チームを編成した後は、どのように運営し、継続するかをめぐって、リーダーの知恵と大局を見る目が問われることになる。国立暨南国際大学で「人文創新與社会実践計画(人文イノベーション・社会実践プロジェクト)」のリーダーを務める江大樹副校長を訪ねてみると、大学のチームを率いる指導者は、野球チームのキャッチャーのような存在にみえた。学校とフィールドの特性をよく理解し、的確な指揮を伝え、前線の闘争心と後方の支援をマネジメントしており、大学と地域のパートナーとの間に結ばれた関係は、一戦ごとに良い関係を築いていた。

一、從「預約水沙連的春天」起步
「所謂的『水沙連的春天』,是埔里在地原本就有好山、好水、好生活,未來應該更具備持續性的創新發展。在這樣子的創新發展過程中,暨大可以參與什麼?可以貢獻什麼?」

一、「水沙連の春の約束」からの歩み
「いわゆる『水沙連の春』とは、埔里という土地には、美しい山、おいしい水、すてきな暮らしがあり、将来的には持続的なイノベーションによる発展が約束されているということを意味します。このようなイノベーションに、本学暨大はどのように参画することができるのでしょうか。そして、どのような貢献ができるのでしょうか。」

水沙連,是清代以來臺灣中部以日月潭為中心周遭地域的泛稱,也是暨大從埔里起步,連結周遭鄉鎮,共創好生活的區域治理範疇,以及和所有參與者聯手打造的地方品牌。2013年,暨大以「預約水沙連的春天:宜居城鎮的轉型與治理」為主軸,獲得科技部「人文創新與社會實踐計畫」經費補助,開始走上校內外的整合與協作之路。

水沙連とは、清代以降における台湾中部の日月潭を中心とする地域の総称であり、暨大が埔里を起点に周辺の市町村ともに創り上げている暮らしやすい地域の対象エリアをも意味し、また、そこに参画する人たちが手を携えて送り出した地方ブランドのことも指している。2013年、暨大は「水沙連の春の約束:住みよい街の変革と自治」を主軸として、科技部の「人文イノベーション・社会実践プロジェクト」補助金を受け、学内外との調整とコラボレーションに乗り出した。

回顧2012年底提案申請的情形,大樹老師指出為了創新與實踐,最初著手的是學校內部整合,先積極盤點哪些老師有意願參與,對什麼議題有興趣,接下來也對埔里居民進行意見調查,了解地方的迫切需求,進而媒合雙方,從環境、產業、社會福利三個面向共商行動方案。另方面,在尋找駐點社區時,也特別關注實踐場域是否可以提供給暨大師生學習和參與改變的機會。

江教授は、2012年末に提案を申請した時の状況を顧みて、イノベーションと実践のために、まず着手したのは学内の調整だったと明かした。参加の意思のある教員が誰で、どのような分野に関心を持っているのかについて積極的に掘り起こし、続いて埔里の住民の意見を確認し、地域が強く望んでいるニーズを理解していった。そして、さらに双方の共同作業に進み、環境、産業、社会福祉の3分野から行動計画について話し合いを行った。また、拠点となる地域の選定に当たっては、そこの実践フィールドが、暨大の教員や学生が学び、変化に参加する機会を提供できるかどうかを重視した。

在起步階段,除了籌組團隊,2013年5月成立的「水沙連人文創新與社會實踐研究中心」(以下簡稱人社中心)則扮演統籌聯繫校內外公共議題的窗口,並透過如同公民論壇的「埔里研究會」,提供大學、公私部門與在地居民交流地方事務的對話平台。

立ち上がりの段階では、チームを組織したほか、2013年5月に発足した「水沙連人文創新與社会実践研究中心(水沙連人文イノベーション・社会実践研究センター)」(以下「人社センター」)が公共的なテーマについて大学内外の連絡・調整窓口の役割を担った。また、市民フォーラム的な「埔里研究会」を通して、大学と公共部門、民間組織、住民が地域の状況について交流する対話のプラットフォームを提供した。

二、實踐團隊有賴社群營造
「我都是用社區營造或是社群營造的觀點來思考這樣的一個計畫,怎麼推動才能夠比較順暢、比較具可持續性。」

二、実践チームはコミュニティの創出に掛かっている
「私が常に考えているのは、コミュニティの構築、またはコミュニティの構築という観点から、このようなプロジェクトは、どのように実施すればスムーズに進み、より持続的なものになるかということです。」

從校園走到社區,由學術走向實務,大樹老師觀察到大學師生一開始都懷著忐忑不安的心情去摸索,尤其老師還肩負課程設計與場域溝通的責任,對於過往不熟悉的實踐工作經常缺乏自信,也認為自己的專業在運用上有侷限性。這是由於臺灣學術界過去在學術分工的影響下,研究領域或課程教學會被限制在特定的專業範疇中,而細緻化後的專業學門卻很難獨力因應繁複多元的地方社會議題。

キャンパスを出てコミュニティに赴き、学術から実務に転じた江教授は、そこで大学の教員と学生が不安を抱えながら模索している様子を目にした。とりわけ教員は、カリキュラムを立て、フィールドにおける意思疎通にも責任を負っており、実践という不慣れな仕事に対して自信を持てないことが多く、専門が実践においては限界があるとも考えていた。これは、台湾の学術界は、かつて学術的な分業の影響を受け、研究の領域や教育のカリキュラムが特定の専門分野に限定されることになったが、専門が細分化された結果、ひとつの学術領域では、複雑化して多方面にわたる地域の課題に対し対応できなくなったことを意味している。

現實的需求凸顯出大學社會實踐工作格外需要不同專業的老師加入,以團隊之力跨域集思,合體承擔社會責任,共同找尋在地議題解方。因此凝聚有共同關懷之社群,營造大家一起來的氛圍,還要不斷搧風點火,提供資源與支持型環境,這些連結和協調創新的工作便成為實踐型計畫的重中之重。

現実社会からのニーズが浮き彫りにしたのは、大学が社会実践の仕事を行うには異なる専門分野の教員が参加することが特に必要だということである。チームとして学際的に考え、一体となって社会に対する責任を引き受け、共同で地元の問題の解決策を探るのである。これにより、互いに配慮し合うコミュニティが生まれ、みんなで取り組むという雰囲気が生まれた。さらに、プロジェクトの火を灯し続けるため、リソースとサポートを提供する環境を整えた。これらの連携とイノベーションに向けた調整を伴う仕事は、実践型プロジェクトの要となった。

早在2012年,暨大為推動教學卓越計畫時就已制定「教師專業社群設置及補助要點」,透過徵件與經費補助方式,鼓勵老師能與同儕組成自發性教學社群,交流教學與研究經驗。而人社實踐計畫因設置實踐場域,更需要以場域為核心,結合不同專業的教師組織議題性社群。

暨大は、教学のためのすぐれた計画を推進するため、2012年の時点で「教師専業社群設置及補助要点(教員による専門家コミュニティの設置と補助に関する要綱)」を設置し、提案の募集と経費の補助を行うことで、教員が同僚と組んで自発的に教育と学習のコミュニティを発足させ、教育・学習と研究の経験を結びつけるよう促していた。「人文イノベーション・社会実践プロジェクト」は、実践フィールドを設置して行われることから、フィールドをコアとして、専門の異なる教員がテーマ性を持ったコミュニティを組織することがより求められる。

三、兼踩油門與煞車的領航員
「我最常鼓勵我們團隊的老師,不要給自己過多的壓力跟過高的目標設定,只要願意參加這樣的創新課程、創新活動,基本上對場域與未來都是有幫助的。」

三、アクセルとブレーキを踏むナビゲーター
「私はだれよりも自分たちのチームを常に気に掛けている教員です。自分にプレッシャーをかけすぎたり、高すぎる目標を掲げたりはしません。ただ、このような革新的なカリキュラムや活動に参加することが、基本的にフィールドや将来にとって意味のあるものであってほしいと願っているだけです。」

身為計畫主持人,大樹老師說他主要的任務是降低團隊成員的焦慮感和挫折感。為了協助參與老師能儘快熟悉場域環境、掌握議題發展,人社中心的博後與專任助理長期在社區中駐紮,和居民、公民團體、公部門互動,適時穿針引線,與老師們共同開發行動方案,引介課程及學生入場。大樹老師則透過人社中心的定期會議及場域走訪,清楚掌握執行動態,並以豐富的地方協作經驗,協助老師們判斷自身及團隊的能量是否能回應場域的期待,再設定哪些議題該優先解決,規劃行動步驟,藉此減緩成員們的不確定感。

江教授はプロジェクトのリーダーとして、自らの役割は主にチームのメンバーの焦りや挫折感を和らげることにあると話す。参加教員がフィールド環境にできるだけ早く慣れるように支援し、テーマの進捗度を把握するため、人社センターのポスドク研究員や専任アシスタントは、長期間コミュニティに駐在し、住民や市民団体、公共部門と連携し、状況に応じて仲介役を務め、教員たちと共同でアクションプログラムを立案し、カリキュラムに組み込み、学生をコミュニティに迎え入れている。江教授は、人社センターの定例会議とフィールド訪問を通して、プロジェクトの実施状況を正確に把握し、これまでの地域とのコラボレーションの経験により、教員たちが自分自身やチームの能力で地域の期待に応えることができるかの判断をサポートし、課題に優先順位を付け、実施項目の順序付けを行う手助けをし、こうしたことを通じてチームのメンバーが抱く不透明感をやわらげている。

尤其實踐型計畫的重點在於理念擴散與行動深化,現實社會不像在實驗室內可以設定明確的條件,在執行過程裡難免會不如預期順利。作為團隊的領航員,大樹老師並非一路帶領眾人向目標狂飆,反而不時為大伙兒踩煞車降速。他經常提醒成員們投入專業未必就能解決問題、帶來改變,期待越高可能失望越大;更重要的是,和社區民眾站在一起,共同面對問題,以務實態度通過摸索過程的顛簸。

とりわけ、実践型プロジェクトの重点は、理念の普及と行動の浸透にあるが、現実社会は、実験室の中のように明確な条件を設定することができず、実行に移してみると予想したほどうまくいかないということがありうる。江教授はチームのナビゲーターとして、ほかのメンバーと一緒に目標に向かってまっしぐらに進むということはせず、むしろ逆にみんなのためにブレーキを踏むことがある。教授はよく、専門家としての取り組みが必ずしも問題の解決や改革につながらず、期待が高いほど失望も大きくなるということ、より重要なのは、コミュニティの住民と同じ土台に立って一緒に問題と向き合い、解決策を模索するプロセスおける山や谷を実務的な態度で通り抜けていくことだということを伝えている。

四、信任感,讓社群更有力
「我們做了很多校內老師的分享活動,還有校外場域的共同參訪,透過這些活動去凝聚老師之間彼此的信任感。」

四、信頼感がコミュニティを強くする
「私たちは学内の教員との共有イベントを多数開催し、学外のフィールドを共に訪れる活動も行っています。こうした活動を通して、教師たちの一体感を高め、相互の信頼感を醸成しています。」

大樹老師認為經營教師社群最重要的關鍵是「凝聚力」。為了讓個人相互連結成社群,朝相同的目標邁進,計畫首要的工作是將參與者共同的理念與想像初步勾勒出來,在地方創新議題的基礎上相互對話,了解彼此的需求和動機。當社群集體願景被描繪出來之後,個人才會湧出動力持續去參與。

江教授は、教員コミュニティを切り回していくうえで最も重要なカギは「結束力」だという。個人がつながりコミュニティを形成し、ひとつの目標に向かって進むには、計画の初期段階で参加者の共通理念とそれぞれの思いをざっと書き出すことが必要で、その上で地方におけるイノベーションという土台に立って対話し、相手側のニーズと動機を理解していく。コミュニティ全体のビジョンが描き出されたら、個人のモチベーションが上がり、参加し続けることができる。

共同目標浮現後,更需要強化社群內部的信任感,暨大團隊常透過非正式的鼓勵、餐敘、工作坊交流、校外參訪等方式,營造成員互相分享、共學的氛圍。藉由活動設計,讓不同專業的成員對話,在對話過程中,每位老師會知道彼此的專業優勢和他人獨特的思考模式,也能了解原來自己只要負責的是其中的一小部分,不用把所有解決地方問題的壓力都背負在自己的身上。並在共學共作的共同體驗歷程中,維繫社群成員間的信賴關係,累積團隊的信任感。

共通目標が明らかになったら、コミュニティ内部での信頼感を高めることが重要となる。暨大チームでは、激励や食事会、ワークショップによる交流、学外活動などを形式張らずに頻繁に行い、メンバーが互いに分かち合い、共に学ぶ雰囲気を築いている。こうした活動の意図としては、各教員が異なる専門のメンバーと対話する中で、専門分野ごとに得意な部分があり、相手にはそれに見合った独特の思考スタイルがあることを知ることができるという点が挙げられる。また、自分の責任は全体の中の小さな一部であって、地域の問題をすべて解決する必要はないと気づくこともできる。共に学び、共に作るというコラボレーション体験から、コミュニティのメンバーの間で信頼関係が持続し、チーム全体で信頼感が蓄積される。

五、「交錯性行動方案設計」獨門心法擴散社群力
「不要完全把所有的希望、所有的精力都鎖定在單一的場域上;每個場域就像一個社會或一個家庭,總是會有突發的狀況,或者人際衝突需要溝通協調。如果有比較寬廣的想像與多元的場域,以及比較具有彈性設計的學習型態,我們的教師社群、師生參與,也比較不會有那麼大的計畫執行壓力。」

五、「複合的アクションプログラム設計」オリジナルメソッドでコミュニティ力を拡散
「すべての期待やすべてのエネルギーをある一つのィールドにすべて投入するようなことがあってはなりません。それぞれのフィールドは、一つの社会、一つの家庭のようなもので、常に突発的な状況が生じたり、人間関係がこじれてコミュニケーションをはかり調整行う必要が生じたりします。もし、比較的ゆったりとしたイメージと多元的なフィールドがあり、比較的フレキシブルなデザインがされた学習形態があれば、われわれ教員コミュニティや教員と学生の参加にあたって、プロジェクトを実行するというプレッシャーはさほど大きくはないでしょう。」

當校內教師社群穩定發展後,經由場域議題研討和活動參與,讓暨大的老師能與業師、社區居民、地方組織幹部一起互動學習,形成更大的場域社群。老師需要學習轉換學術語言和社區溝通,轉化專業知識貼近日常需求;而來自場域的在地智慧、創意與活力,也會反饋到老師的教學和研究。

学内の教員コミュニティが安定して発展した後、フィールドの課題に関する討論と活動への参加によって、暨大の教員は、専門家や地域住民、地元団体の幹部と互いに学び、より大きなフィールドを形成することができるようになる。教員は、学術的な言葉を言い換えて地元のコミュニティとコミュニケーションし、専門的な知識を日常の暮らしの中にあるニーズに近づけていくことの必要性を学ぶ。さらに、フィールドの中にある地元の知恵や工夫、活力を自分たちの教育や研究にフィードバックすることができるようになる。

由於社群的互動會因不同專業、不同場域、不同議題,擦撞出新的火花,拓展出多重想像。加上人文創新與社會實踐工作面對的是變動的社會、多面向的場域議題,需要多元視角與各種專業共同協力。因此在社群的經營或是駐點人員的任務分工上,大樹老師採取的是「交錯性行動方案設計」。

コミュニティの相互作業により、さまざまな専門、フィールド、テーマがぶつかり合って新たな火花を散らし、イマジネーションを重層的に刺激する。また、人文科学上のイノベーションと社会実践が向き合うのは、変動する社会、多面的なフィールドのテーマで、多角的なものの見方や各専門分野との協力が必要となる。このため、コミュニティの運営やコミュニティに駐在するスタッフの役割分担において、江教授が採用したのは「複合的アクションプログラム設定」である。

所謂交錯性行動方案設計是指單一老師、單一駐點人員不能只做單一的事情,或者只熟悉單一場域的議題,而必須交叉參與。大樹老師鼓勵團隊的老師因應場域議題設定階段性協力目標,譬如共同開課、一起設計方案、跨社群分享場域經驗;駐點人員也會視場域發展需要,邀請不同教師社群入場協作。藉由跨領域、跨社群、跨議題的交錯性協作與經驗分享,不論是個人或者社群的視野就不會只侷限在自己的想像上,也能分散執行計畫所承受的時間、經費與成果等壓力。而隨時能變化的彈性團隊組合也能立即對接地方與時俱進的新需求。

このアクションプログラムは、一人の教員や駐在スタッフは、一つのことだけをするのではなく、また、ある一つのフィールドのテーマだけに通じているのではなく、相互に関与しなければならないというものである。江教授はチームの教員に対し、フィールドのテーマに応じて段階的な協力目標を設定するよう促している。共同で講義を行う、共に計画を立案する、コミュニティ間でフィールドにおける経験を分かち合うといったものである。駐在スタッフも、フィールドの発展に必要なニーズを見ながら、さまざま教員にコミュニティに入ってもらい協力を依頼する。分野をまたぎ、コミュニティをまたぎ、テーマをまたぐ複合的なコラボレーションと経験の分かち合いにより、個人であれ、コミュニティであれ、その視野は自らの想像の範囲にとどまることはなくなり、プロジェクトの実施に伴う時間、コスト、成果に対するプレッシャーを分散することができる。また、いつでも変更可能な柔軟なチーム構成は、地域社会の新たなニーズにも即座に対応することができる。

交錯性協作的方式也延伸到場域的經營。執行人社實踐計畫七年多來,暨大的場域設定,從桃米社區、籃城社區、眉溪部落三個據點的實作,擴展到社區之間的議題性共學,譬如桃米社區的生態人才培育經驗,就透過校內的大學社會責任計畫團隊擴散到蜈蚣社區。在這樣的進程中,不僅暨大師生學習與實作的場域能從原先的據點拓展到其他社區,原本場域的社區也能與其他關心類似議題的後進社區或部落交錯合作,共同學習成長。

複合的コラボレーションという方法は、フィールドの運営にも及んでいる。「人文イノベーション・社会実践プロジェクト」を実施して7年余りになる。暨大は「桃米」、「籃城」のコミュニティと「眉渓部落」の3拠点にフィールドを設定して活動してきたが、そこから、コミュニティ間で共に学ぶ活動に発展している。例えば、桃米コミュニティは生態学に関する人材育成経験があるが、これは、学内の社会的責任プロジェクトチームを介して蜈蚣コミュニティにシェアされている。このプロセスにおいて、暨大の教員と学生の学習・実践のフィールドは、もともとの拠点から新たなコミュニティへと拡大したが、もとのフィールドのコミュニティも、類似のテーマに関心を持つ、新たに参加してきた別のコミュニティと複合的にコラボレーションし、共に学び、成長することができた。

六、從議題性的共學到地方創生人才的培育
「我們的理想是將水沙連區域和暨大經營成一個共學的大學城,裡頭有很多豐富的議題,具有共同理念的學校老師與地方民眾,大家對於整個區域的發展,都能夠有充分對話、交流的平台。」

六、テーマ性のある共学から、地方創生の人材育成へ
「われわれの理想は、水沙連エリアと暨大が、共に学ぶ大学都市を運営していくことです。そこには数多くの豊かなテーマがあります。共通の理念を持つ教員と地域住民がみんなで地域全体の発展についてとことん対話、交流できるプラットフォームです。」

在鄉鎮合作的層級上,暨大團隊則從大埔里地區的空污減量運動、埔里生活生態博物館等行動議題的深化,進一步在空間上橫跨到國姓鄉、仁愛鄉和魚池鄉等地,鎖定水沙連地區「生態環境保育、社區互助照顧、地方產業振興、地方文化與藝術、鄉村教育學習、地域振興與地方創生人才培育」六項重要議題,與地方社群和鄉鎮公所一起推動地方創生事業。

郷鎮(町村)レベルでのコラボレーションでは、暨大チームは埔里地区全体の大気汚染抑制キャンペーンや埔里生活エコミュージアムといったアクションを伴うテーマを深めるところから始めた。そこから国姓郷、仁愛郷、魚池郷と地理的にまたがり、水沙連エリアに絞って「生態環境の保全・向上、コミュニティにおける相互ケア、地場産業の振興、地域文化と芸術、郷土教育・学習、地域振興と地方創生の人材育成」の6大重要課題を定め、地域コミュニティと郷鎮公所(町村役場)が共に地方創生事業を推進することとなった。

大樹老師強調,暨大參與地方創生特別著重從「人才」共同培育角度切入。一來重視培養學生的興趣和技能,在實踐過程中帶領學生與在地共作,並與校內創新育成中心協力,輔導及媒合學生創業和就業,讓學生畢業後願意留在地方工作;二來調查在地從業者的需求,結合校內外師資,開設如民宿經營、咖啡產製行銷等專業課程,提升地方產業競爭力;三來盤點青年返/留鄉所需資源,與公部門協力改善產業與生活環境,讓人才能移/宜居。

江教授は、暨大が地方創生に参画するに当たって、「人材」を共に育てるというアングルを特に重視していると強調する。まず、学生の関心とスキルを育てることを重視する。実践活動では学生を連れて地域での共同作業に赴くとともに、学内のイノベーション育成センターと協力し、学生の起業・就職のサポート・マッチングに取り組み、学生が卒業後に地元に残り仕事をするよう促す。次に、地域で働く人たちのニーズを調査し、学内外の教員と専門家が、たとえば民宿経営やコーヒーの生産・販売に関する専門コースを開設し、地場産業の競争力を高める。さらに、若年層が地域に戻る/留まるために必要なリソースを洗い出し、公共セクターと協力して産業と生活環境を改善し、人材が移住したり、快適に暮らしたりできるようにするものである。

對於讓許多人退避三舍的公部門,專長為公共行政的大樹老師語重心長地說,在許多地方議題中,公部門仍扮演主導性的角色,他鼓勵大家千萬不要放棄與公部門合作的機會。而暨大團隊與公部門的合作主要採取「陪伴」與「培力」策略,將公部門視為社群伙伴的一種類型。以鄉鎮公所來說,大樹老師會請同事先去蒐集各個公所最近關注議題與施政資料,再透過拜會首長,了解彼此需求與執行經驗,建立初步的窗口聯繫。之後再邀集相關公部門、NPO、產學代表一起對話,形成合作組織,於暨大發起的平台裡商討地方願景及進行事業提案。在交錯式分享與合作中,逐步累積信任,也讓施政更契合地方所需。

公共セクターは多くの人にとって近寄りがたい存在だが、公共行政を専門とする江教授は、地方が抱える数多くの問題において、公共セクターは依然として主導的な役割を果たしており、公共セクターと共同作業を行う機会を絶対にあきらめないでほしいと、力を込めて述べた。また、暨大チームと公共セクターが協力する場合には、「寄り添い」と「能力の養成」を方針としており、公共セクターをコミュニティのパートナーの一類型とみなしている。郷鎮公所でいうと、江教授はまず、各郷鎮公所がその時期に関心を払っているテーマと行政資料を職員に集めさせ、あらためて首長との面談することで互いのニーズと経験値を把握し、初歩的な連絡窓口を設ける。その後、関連する公共セクターとNPO、産学の代表を招いて全体的な対話を行い、協力組織を立ち上げ、暨大が立ち上げたプラットフォームで地域のビジョンについて協議し、プロジェクトについて提案を行う。複合的なシェアと共同作業を行いながら、徐々に信頼を積み重ね、施策を地域のニーズに合わせていくのである。

話鋒一轉,大樹老師指出,既然與公部門是合作伙伴,關係就要對等。大多時候,他會站在第一線陪伴公所初步診斷問題,也為學校把關,判斷哪些議題能承接,哪些合作須先婉拒,暫時擱置。對內會幫忙評估有哪些老師的專業能對應公部門需求,再從原本的教師社群中彈性籌組團隊,並注意不能讓老師們負擔過重。

また、江教授は、公共セクターとは協力パートナーである以上、関係は対等なものであると指摘する。ほとんどの場合、教授は最前線に立って郷鎮公所に同行し、問題に対する初期的な評価を行う。そして大学の立場上、どのテーマが受け入れ可能か、または婉曲に断るべきか、しばらく棚上げすべきかを判断する。内部的には、どの教員の専門分野が公共セクターのニーズに合致しているかについて、その判断作業をサポートし、もともとの教員グループの中から弾力的にチームを組織し、教員たちに過度な負担が及ばないように配慮する。

七、健全制度為社群創新持續增溫
「老師們持續參與的動力,還是需要有客觀資源跟學校相關制度的搭配。我認為計畫主持人或是校方,應該針對每位老師想投入的行動給予明確的經費或是校內制度上的支持。不僅讓老師能安心參與,也因此肯定學校對於社會實踐工作是抱持著永續推動的態度。」

七、健全な制度がコミュニティのイノベーションを進める
「教員が継続的に参加するモチベーションとして、客観的なリソースと学内の関連制度を用意する必要があります。プロジェクトのリーダーや大学側は、各教員がかかわりを持とうとする行動に対して、経費の計上や学内制度による支援を行う必要があります。これにより、教員が安心して参加できるだけでなく、学校が社会実践的な仕事を継続して推進する姿勢を示すことにもなります」

不讓團隊成員過勞、降低參與者的挫折感、增進群體的凝聚力,要推動實踐社群能持續創新,還需要制度上的支持與保障。不論是創新課程界定、課程成果的共享方式,或是方案經費、工作空間的爭取,還有獎勵、升等制度調整等配套措施,都有賴學校領導階層與院系成員的支持。大樹老師說他很幸運,這幾年來同時兼任教務長的職務,亦擔任校教評會召集人,對於老師在創新研究與教學的獎勵或多元升等制度上,能夠積極協調各方意見,有效爭取制度革新,讓認真參與的老師能真正受惠。

チームのメンバーを疲弊させず、参加者の挫折感をやわらげ、グループ全体の団結力を高め、コミュニティにおける実践がイノベーションを生み出し続けるにはやはり制度上の支援と保障が必要である。イノベーションカリキュラムの定義づけ、成果の共有方法、あるいはプログラムに必要な経費、作業スペースの確保、インセンティブ、昇進制度などの一連の調整など、どれをとっても大学の上層部や大学院や学部職員の支持が必要である。江教授によると、彼は幸運なことに、ここ数年来、教務主任の職にあり、また、大学教育評価委員会を招集する立場にある。このため、イノベーションの研究と教育に関する教員向けのインセンティブや昇進について、積極的に意見調整を行うことができた。これは制度改革の推進にとって有効で、真摯に取り組もうとする教員に多くの恩恵をもたらした。

目前暨大已有三位教師因為投入社會實踐與地方參與工作,運用校內多元升等機制順利通過升等。當學校制度開始變革,校內營造出支持氛圍與鼓勵環境,老師們就能較為安心投入社會實踐工作,而不會在短期的參與過程中消磨掉原初的熱情。這樣由內部自發的風氣也才能捲動更多老師投入參與,鎔鑄成學校的發展特色。

今のところ、暨大ではすでに3人の教員が、社会実践と地域参画した業務が評価され、学内の複数の昇進制度に合格し昇進が認められた。学内で制度改革が始まったことから、支援に向けた雰囲気と奨励する環境が学内で醸成され、教員たちは以前よりもためらうことなく社会実践の業務に当たることができた。短期間の参加のなかで、当初の情熱が消えてしまうようなことはない。このように、内部からの自発的な雰囲気が、さらに多くの教員が参加するようになり、学校の発展を特徴づけていくことになる。

八、共同學習成長的「交朋友」初衷
「如果老師們有更多的想像、更多的行動方案設計需要資源,我會透過學校的相關計畫與經費去協助他完成想要實踐的方案。我想這是很多老師看到我不會害怕走掉,而是願意與我分享他們想做的事情的主要原因。」

八、共に学び成長する「友人をつくる」という初心
「教員たちがさらに多くの構想を持ち、さらに多くのアクションプログラムを立案し、そこにリソースを必要としているのであれば、私が大学の関連プロジェクトと資金を使って、教員が実践しようとしているプランの完成を支援します。こうしたことにより、多くの教員は、私が恐れて逃げ出すこと無く、教員たちがやろうとする主な理由を分かち合いたいと思っていること知ると思います。」

走過七年多一起並肩協作的日子,人社中心已成為暨大社會參與相關資源與資訊的整合與分享平台,校內更成立「地方創生與跨域治理聯合辦公室」,匯集全校參與社會實踐工作團隊毗鄰辦公,藉由定期的聚會分享與偶遇交談,讓不同團隊伙伴們能夠有對話與合作的機會。

7年以上にわたって共同作業を行ってきた結果、人社センターは、暨大の社会参画及び関連情報を集約・シェアするプラットフォームとなった。学内には「地方創生・越領域管理連合事務局」が発足し、全学の社会実践活動チームをまとめて事務を行い、定期的な集まりを通して情報共有と親睦を図り、各チームのメンバー向けに対話と共同作業の機会を設けている。

大樹老師指出,人社實踐計畫目前在暨大已經不是單純的科技部研究計畫而已,它需要整合學校的教學、研究、產學合作,以及校外相關資源,去對接到每一個計畫團隊的各項需求,也和相關社群交流經驗、共享資源,建立支持性制度,才能將創新與實踐的能量加成,發揮到極致。

江教授の指摘によると、「人文イノベーション・社会実践プロジェクト」は、暨大において、単に科技部の研究プロジェクトではなくなっている。その活動には、学内の教学、研究、産学連携、学外の関連リソースの統合調整のほか、さまざまなプロジェクトチームの各ニーズの把握、関連コミュニティとの経験の共有、リソースの共有、支援制度の確立が含まれている。それにより、イノベーションと実践に振り向けるエネルギーが高まり、最大の成果を生み出すことができるのである。

「水沙連學研討會」就是過去這段期間,暨大各個投入地方連結與社會實踐團隊的階段性行動與反思集結,發表人除了暨大教師、博後,還有過去較少在學術場合發表的計畫駐點專任助理與社區伙伴,都有機會站上講臺分享他們的經驗與觀察。眼尖的大樹老師,也發現了場內出現幾位實踐團隊之外的校內老師,他們來參加研討會是想知道其他同儕在相關領域做了哪些事情,和他們的專業未來有沒有連結的可能性。

「水沙連学シンポジウム」は、過去のこうした期間に、暨大が地方の結びつきに関わってきたことや社会実践チームが段階的に活動してきたこと、そしてその反省をまとめたものである。シンポジウムでは、暨大の教員やポスドク研究員、そして、これまで学術的な場では発表の機会の少なかったプロジェクトの専従アシスタントやコミュニティの仲間にも、自らの経験や目にしたことを伝えるためにマイクを握る。目ざとい江教授は、シンポジウム会場に実践チームではない学内の教員が何人かいることに気づいた。彼らがシンポジウムに参加したのは、同僚が関連領域でどのようなことをしているのか、自分の専門分野と将来的に連携の可能性があるかどうかということを知りたいからであった。

這樣的「發現」正呼應大樹老師以結交朋友,共同學習成長的心情,投入社會實踐的初衷。這些年來,看到許多老師從侷促不安,到肯定自己參與社會實踐的神采飛揚,而更願意主動結合地方議題,持續在課程與研究上創新,並且於社群中坦誠分享、彼此激勵的成長與轉變過程,在在讓這位固守本壘後方,協助伙伴不斷得分的捕手銘心難忘。

このような「発見」は、江教授の、友となり、共に学び成長するという気持ちで、社会実践に参画するという初心と呼応する。ここ数年来、多くの教員が、どうしようもない不安を持っていた状態から、社会実践に参与し地域の課題と主体的にかかわり、カリキュラムや研究の上でもイノベーションを続けていくケースを目にするようになった。教員がコミュニティのなかで進んで共有し、励まし合いながら成長・変わっていくプロセスを見ると、ホームベースの後ろでチームメートが得点し続けるのをフォローするキャッチャーのことが感慨をもって思い起こされる。

從已知探尋未知,創新實踐的驚奇賽事仍持續進行中。「水沙連大學城」的社群力,將會為整體區域帶來什麼樣生意盎然的春光榮景,且讓我們拭目以待。

既知から未知を探り、イノベーションを実践する驚くべき高め合いは今も続いている。「水沙連大学都市」のコミュニティ力が、今後コミュニティ全体にどのような生命力にあふれた春をもたらすのか。期待をもって見守りたい。

原文刊載於《人文創新與社會實踐電子報》第85、86期
https://www.hisp.ntu.edu.tw/news/epapers/98/articles/365
https://www.hisp.ntu.edu.tw/news/epapers/99/articles/368

原文は『人文創新与社会実践電子報』第85、86号に掲載されている。
https://www.hisp.ntu.edu.tw/news/epapers/98/articles/365
https://www.hisp.ntu.edu.tw/news/epapers/99/articles/368

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