Taiwan

官田菱殼生物炭製作與應用之大學社會責任實踐

官田の菱殼を使ったバイオ炭の製造・活用と大学の社会的責任の実践
專題文章 ( 特集記事 )
學校(学校) | 國立成功大學化學系(国立成功大学化学系) 作者(著者) | 林弘萍
2575閱讀數(閲読)

生物炭(Biochar)近年來在農業循環經濟發展以及氣候變遷的議題上受到了高度的重視。生物炭究竟是什麼物質呢?怎樣製造?在此先簡略敘述生物炭做。

近年、バイオ炭(Biochar)は循環型農業経済の発展や気候変動という視点から高い注目を集めている。では、バイオ炭とはいったいどのような物質で、どのように製造されるのだろうか。まず、バイオ炭について簡単に説明する。

從化學的觀點而言,農業生產剩餘資材中的木質素成分在高溫狀況下較易轉換成具有高穩定度以及導電度,類似非常穩定石墨碳之結構(圖1),因此推估能將碳元素固定在土壤中高達數萬年之久。可以達到固炭以致有效減緩地球表面溫度上升之功能。且因為農業生產剩餘資材結構的關係,製成的生物炭大都能具有多孔洞性,因此做為土壤改良劑是生物炭另一項被期待的功能。實際上,若是能建立安全環保的生物炭製程,配合科學化的田間實驗印證,生物炭確實能具有固炭和土壤改良的雙重功能。

化学の観点から見ると、農業残渣に含まれるリグニンは、高温で容易に、高い安定性と導電率を持つ、非常に安定したグラファイトカーボンのような構造に変わりやすいため(図1)、土壌中で数万年の間炭素を固定していると推測される。炭素固定は地表の温度上昇を緩和する効果がある。なおかつ、農業残渣の構造の関係から、そこから作られるバイオ炭はほとんどが多孔質であることから、バイオ炭は土壌改良剤としての役割も期待されている。実際、安全で環境に優しいバイオ炭の製造プロセスが確立され、フィールド実験で科学的に証明されれば、バイオ炭はまさに炭素固定と土壌改良の2つの機能を持つことができる。

臺南市官田區位處於平坦嘉南平原,是屬嘉南大圳起源地,並有烏山頭水庫、埤塘灌溉渠道完整,以種植菱角聞名。占全國70 %的生產面積,每年生產菱角達6000公噸、產生之廢棄物菱角殼約有3000公噸。由於菱角殼是含有高量木質素(Ligning)之農業廢棄資材、質地硬、不易以堆肥法處理。通常農民以棄置或焚燒等方式處理,造成當地環境衛生及空氣污染之長期困擾的問題。

台南市官田区は平坦な嘉南平原に位置し、嘉南大圳起点の地であり、烏山頭ダムとため池による灌漑排水が整備されており、菱角(ヒシの実)の栽培でも知られている。当地における菱角の生産面積は台湾全体の70 %を占め、年間生産量は6000トンに達する。これに伴って廃棄される菱角の殻は約3000トンである。菱角の殻は農業廃棄物であるリグニンを多く含み、硬く、堆肥化には適さない。生産者は通常、そのまま廃棄、または焼却処理などの方法で処分しており、長期にわたり地域の環境汚染や大気汚染の問題を引き起こしている。

在2015年底官田區區長顏能通先生率先導入生物炭製造技術。他邀請當地之居民與個人組成一支研究團隊,試圖將菱角殼轉成菱殼生物炭。因為缺乏經費,因此只能採用最簡易的“上方點火法”的方式(圖2A)。以廢棄的鐵桶在底部打適量的洞,使空氣對流能達到燃燒所需的空氣量。

2015年末、官田区区長の顔能通氏が初めてバイオ炭の製造技術を導入した。顔区長は地域住民や個人に呼びかけて研究チームを発足させ、菱角の殻をバイオ炭にする試みを行った。資金が十分ではなかったため、最も簡易な“上方点火法”を採用した(図2A)。不用になった金属製のバケツの底に適宜穴を開け、空気の対流によって燃焼必要な空気を取り込んだ。

然而如何建構一套完善的菱殼炭製造系統,製造過程中空氣汙染的問題最需要重視;指導改善這些複雜的燃燒過程時,流體力學的知識是最重要的科學依據。但是仍需要實際操作和測試,而且要不斷地修正,才能符合實際的現地使用。

しかし、完成度の高い菱殼炭製造システムを構築するためには、製造過程で生じる大気汚染の問題は最も重視しなければならない。流体力学の知識は、これらの複雑な燃焼プロセスの改善を導くための最も重要な科学的根拠である。しかし、実際に現場で使用できるようにするためには、実地の操作とテストが必要であり、なんども修正が必要である。

為能達到符合環保排放標準的燃燒狀況,在煙囪高度及燃燒桶打的洞數以及大小都是關鍵因素。研究團隊不屈不撓,花了將近一年的時間,才建立起最佳化的碳化設備(圖2B)。在不需要額外的石化燃料及電能的情況下,藉由菱角殼的自身燃燒即可生產出高品質的菱殼炭(water caltrop-shell biochar)。完全符合環境保護的觀點且具有永續發展的潛力。

環境排出基準をクリアする燃焼状態を実現するためには、煙突の高さや燃焼筒に開ける穴の数や大きさが重要なポイントとなった。研究チームは、ほぼ1年、不屈不撓の作業を続け、最適化された炭化プラントを構築した(図2B)。こうして、化石燃料や電力を必要とせずに、菱角の殼そのものを燃焼させることで高品質な菱殻炭(water caltrop-shell biochar)を生産できるようになった。環境保護の観点に合致したものであり、持続可能な発展の可能性をも持っている。

現階段菱殼炭燒製試驗成果如下:每桶碳化爐可裝入約15公斤的曬乾菱角殼,(圖3A)碳化時間僅需35分鐘可製成3~3.5 公斤菱殼炭(圖3B)。菱殼炭成品基本性質檢測結果比表面積約250~400 m2g–1、含碳量達70 wt.%以上。符合歐盟EBC生物炭在這兩項基本性質上的要求,並依IBI、EBC及重金屬及戴奧辛成分送驗,皆低於標準值,以簡易的官田碳化系統所製得的菱殼炭化具有高安全性。

現階段における菱殼炭焼試験の結果は、炭化炉1台あたり約15kgの乾燥菱角殼が充填でき(図3A)、わずか35分の炭化時間で3~3.5kgの菱殼炭ができる(図3B)。菱殼炭の基本的な性質を測定したところ、比表面積はグラム当たり約250~400 平方メートル、炭素含量は70 wt%であることがわかった。この2つの基本的な性質は、欧州バイオ炭認証(EBC)の要求を満たしており、IBI、EBC、及び重金属、ダイオキシンの成分検査もすべて基準値以下であった。簡易な官田炭化システムによる菱殼の炭化は高い安全性を有している。

生物炭施用對於土壤環境與農產品產量都具有正面的結果,因此藉由菱殼炭保水試驗、小型盆栽試驗、水質淨化,以及田野實驗等多方檢驗,獲得土壤混用菱殼炭能夠對土壤有效保水、保肥,還具有淨化水質之功能。

バイオ炭の施用は土壌環境や農業生産量にプラスの結果をもたらした。そこで、菱殼炭による保水試験、小型の鉢による試験、水質浄化、圃場実験などの多方面の検証を行った結果、菱殼炭を混入させた土壌は、保水性、保肥力があり、水質も浄化されることがわかった。

區公所開始進行菱角殼炭小型田野試驗,以評估其在農業可行性,並收集各種操作數據,做為資料庫以提供農友參考。前期已有5處合作場域,總試驗面積目前為8400 m2,試驗栽種作物包括稻米、菱角、花生、南瓜、芭樂等,吊掛使用菱殼炭之有機菱角田收成,總重量約為無添加之1.2倍。

区公所では、菱角殼のバイオ炭の農業への適用性を評価し、様々な運用データを収集し、農家の参考となるデータベースを提供するため、小規模なフィールドテストを開始した。 前期には、5カ所の協力農場を確保した。総試験面積は8400平方メートルで、試験作物は、稲、菱角、落花生、カボチャ、グアバなどでテストを行った。菱角殻炭を使用した有機菱角の収穫量は、未施用の約1.2倍だった。

有機稻米田收穫量,施用菱殼炭之田地之5 m2,乾穀重為未添加之1.5倍、平均株高及平均穗長為未添加之1.2倍。這些初步的田間試驗結果顯示:生物炭確實有提升農作物產量的功效,但是這些試種的面積仍是不夠具代表性,而且也只是先施用於有機農地,對一般慣型農地的效果仍待探討。菱殼炭在農業應用的研究需要進行更長的時間,才能更客觀地了解菱殼炭的功能。

有機米の収量については、菱殼炭を施用した田は5平方メートルで、籾の乾燥重量は未施用の1.5倍となり、株の高さと穂の長さの平均は未施用の1.2倍だった。これらの初期的な圃場試験の結果から、バイオ炭は確かに農産物の収量増加に有益な効果をもたらすことがわかったが、試験面積はまだ代表的なものとしては不十分であり、また、有機農場でしか施用されていないため、慣行農地への効果についてはなお検討が待たれる。菱殼炭の農業への応用については、その機能をより客観的に理解するために、さらに長期的な研究が必要であろう。

雖然在前幾年有環保署經費之挹助,建立官田菱角碳化場;以及農委會計畫支持農地試驗研究,菱殼炭的生產與田間試驗配合的成果都是正向的。但随著政府補助資金的減少和移出,碳化場人力的薪資與設備的損耗維修經費,卻逐漸發生無法延續的困境。再者,生產的菱殼炭成本每公斤的價格約300元,農業使用上是不敷成本的。既使菱殼炭的品質已達高品質的生物標準。因此不得不再行思考如何將菱殼炭的價值提昇,這決定著菱殼炭的永續發展的命運。

ここ数年、環境保護署の支援により官田に菱殻炭化施設を整備し、また、農業委員会のプロジェクトで農地試験研究への支援がなされていることから、菱殼炭の生産と圃場試験のタイアップはプラスの成果を出している。しかし、政府からの補助金の削減・廃止にともない、炭化施設スタッフの賃金と設備維持費は、継続的な確保がしだいに困難になってきている。また、菱殼炭の生産コストはキロ当たり約300元で、菱殼炭は高品質な生物学的基準に達してはいるが、農業分野に応用するにはコストに見合わない。このため、菱殼炭の価値をいかに高めるかをあらためて考える必要があり、それが持続的発展の命運を握っている。

以個人這幾年實際的經驗而言,大學社會責任和地方創生的推展是否能成功,取決於與地方實際連結與產品價值之提升。實際的連結即是解決在地所面臨的問題,而解決問題和價值提升之道乃是立基在科學基礎上。

ここ数年の私自身の経験から言うと、大学の社会的責任と地方創生の推進が成功するかどうかは、その地域との実質的なつながりや生産物の価値を高めることにかかっていると思う。実質的なつながりがあれば、地域が直面する課題を解決することができ、問題解決と価値の上昇につながる道筋は、科学的な基礎に立脚する。

透過實地參訪、用心開發、經過長時間地經營和堅持。進一步與官田地方創生團隊共同開發所產出的「官田烏金」炭之高價值產品(例如: 吸附包、精油擴香粒(圖3C)、菱殼炭紡織品、去除臭氧碳粒等產品),帶動了在地的特色生產。

現地に足を運び、開発に心を傾け、マネージメントに時間をかけ、こだわりを持ち続けること。さらに、「官田烏金」という炭の高付加価値製品(例えば、吸着袋、アロマディフューザービーズ(図3C)、菱殼炭の織物、消臭ビーズなど)を官田の地方創生チームと共同で開発し、地域の特産品につなげた。

同時也讓市區居民參與產品之包裝和製作(圖3D)。同時個人也將官田烏金的科學教育深入當地的官田國中,讓廢棄資源再利用和地方創生的觀念深植於當地子女心中。

同時に、住民には製品の包装や制作にかかわってもらった(図3D)。また、筆者個人としては、「官田烏金」の科学教育を地元の官田中学校に導入し、廃材の再利用や地方創生の考え方を地元の子どもたちに伝えている。

這六年左右的奮鬥過程,也充份了解到永續循環經濟的創立,是一項需要由科學做為基礎,結合各方有相同志向的人才,共同努力才能逐步達成目標。現階段菱殼炭商品雖有一些經濟成效,但尚不足以成為永續產業。

この約6年間の奮闘によって、持続可能な循環型経済の構築には、科学的な根拠と、志を同じくする人々の力を結集することが必要であることがよくわかった。現段階では、菱殼炭の製品はある程度の経済効果はあるものの、持続可能な産業となるにはまだ十分とは言えない。

研究圍隊將會持續努力開發新產品,也期望消費者和政府單位能重視循環經濟的重要性,多購買和支持相間關產品,共同支持理想的永續循環經濟產業。我本人也將持續開發菱殼炭永續循環經濟產業,並且將許多的研究經驗和成果傳承,直到真正建立菱殼炭的永續產業。

研究チームは今後も新製品の開発を続け、消費者や政府機関が循環型経済の重要性を真剣に受け止め、関連製品を購入・支援することで、持続可能な循環型経済産業の理想的な姿をともに支えていくことを期待している。 そして私自身も、菱殼炭の持続可能な循環経済産業の開発を継続し、菱殼炭が持続可能な産業として確立されるまで、多くの研究経験と成果を伝えていく。

圖:1. 農業生產剩餘資材中的木質素組成高溫轉化成類似石墨結構之反應式。
圖:1.農業残渣に含まれるリグニンを高温でグラファイト状にに変換する反応式。
圖:2 A. 上方點火法之初期菱角殼碳化設備 ; B. 官田區開發之菱角殼碳化系統。
圖:2 A. 初期の上方点火法による菱殼炭の炭化装置;B.官田区が開発した菱殼炭の炭化システム。
圖:3 A.當地居民操作菱殼炭生產設備;B. 社區長者協助包裝吸附包; C.菱殼炭照片;D. 菱殻炭精油粒吸附產品。
圖:3 A.菱殼炭の生産装置を操作する地元住民;B. 吸着袋の包装作業を手伝う地域の高齢者;D. 菱殻炭を使ったアロマオイルのビーズ吸着製品。
Share article (シェア)