日台大学地方連携及び社会実践連盟の起源とビジョン
台湾は日本と同じく少子高齢化、地方の人口流出、都市と農村部の発展の格差などの問題に直面しています。日本では地域政策を担当する内閣府が「まち・ひと・しごと創生本部」を設立し、若者が家庭を持ち、仕事をするのに適した環境を作り、地方への人口流入を促進しています。また、地方大学による労働者の育成を政府の公共事務人材の育成のサポートにつなげるなど、地域創造における重要なメカニズムが構築されています。2017年に日本の文科省高等教育局が発表した「地方大学による地方活性化」政策情報は、若者人口が明らかに東京などの10都市に集中しているため、「地方大学・地域産業創生交付金」により、地方大学を中心とした民間団体と相互協力し、共同で現在直面している社会問題に対する実行可能な解決策を見いだすことを目指すとしています。
台湾もまた類似の社会問題に直面しており、2013年には科技部により地域実践をメインとした「人文イノベーション及び社会実践プロジェクト」が正式に実施されました。大学が地域のアイデアやニーズを基にコミュニティや地方組織と連携し、オルタナティブな経済と地域開発の可能性を共同で模索していくことを目指しています。2017年、教育部は「大学の社会的責任実践プロジェクト」を立ち上げ、大学と地域の結びつきと連携を強化し、大学の社会的責任を実践することで、地域開発の価値を創造することができる学生を育成しています。2019年は台湾の地域創造元年となりました。中央省庁、地方政府、地域創造の分野に関心を寄せる民間企業の責任者、学者、専門家のグループが一丸となり、地方の社会問題やニーズに関する対策を講じています。
日本と台湾が直面している社会構造の問題は似ているように見えますが、問題の根本的かつ実行可能な解決策を講じるには、地域のつながりから問題を認識する能力が必要となります。近年、両国の大学はさまざまな角度から地域人材の育成や地域創造活動に取り組んでいます。大学が地域の課題を深く探って理解し、教育と研究を実際に組み合わせて地域の課題に対応しています。そこで、「日台大学地方連携及び社会実践連盟」が組織・設立され、「地域創造」、「ソーシャル・イノベーション」に取り組む日本と台湾の公私立大学向けに実質的な交流プラットフォームが構築されました。台湾と日本の大学の地方連携と社会実践に関する研究、プロジェクトの設計や運用の経験、コース開発、教師コミュニティと地方のネットワーク経営に関する学術や実務的な交流を促進しています。少子高齢化、都市と農村部における発展の格差、地域産業の発展、コミュニティ運営など、現在の深刻な社会問題や開発の苦境に対して実行可能な解決策を提示し、日台大学地方連携及び社会実践連盟のプラットフォームを介して関連の研究成果や実践経験を共有し、進歩と拡散を続けています。
聯盟のメンバー
人文イノベーションと社会実践プロジェクト
グローバル競争の中、社会は経済発展を追求していますが、貧富の格差の急速な拡大、生態環境の破壊、民主主義の発展の停滞など問題が次々に発生しています。理学や工学と比べ、技術研究開発による生物医学分野、経済生産へ参加する産学連携の学術実践モデル、人文・社会科学は、その概念の核心と社会実践により、世界の社会経済発展に与える負の影響に対する効果的なソリューションを提示することができます。さらに積極的な側面から具体的な行動をとることで、社会に有益な価値をもたらす革新的なモデルとなります。
2012年、行政院科技部人文及社会科学研究発展司(旧国家科学委員会人文及社会科学研究発展処)は、人文への関心と革新的な学術研究の側面から、現在台湾が直面している社会問題を探るため、「人文イノベーション及び社会実践プロジェクト」の初公募を実施しました。課題研究と社会行動プログラムの設計を通じて人文と社会科学の社会改革への貢献を明らかにし、地域実践により地域の特徴を際立たせるという方法で、より質の高い生活環境を作り出しています。また、大学の社会的責任を奨励して多元的な学術モデルを確立し、大学制度の変革の可能性を生み出すことを目指しています。
USRプロジェクト:社会問題に焦点を当てた持続可能な発展の実践
教育部は地域のつながり、人材の育成、国際連携などさまざまな問題に焦点を当てた「大学の社会的責任の実践(University Social Responsibility, USR)プロジェクト」を実施し、USRプロジェクトが大学の社会参加を促進する重要な役割を果たすことを目指しています。専門知識と創造力の発揮による学習と実用性のギャップの改善を奨励しています。地域アイデンティティと発展を促進し、世界とつながるビジョンを展開しています。
第1期プロジェクトは段階的に実を結んでおり、第2期プロジェクトの実施後も引き続き実り豊かな成果を目指しています。教育部はさらにUSRプロジェクトの全体的な発展を促進するプラットフォームとして「大学の社会的責任推進センター」を設立し、さまざまな角度から各大学やUSRプロジェクト実行チームと協力し、USRの目標と利益を着実に達成しています。チームがプロジェクトの実行過程で影響力を示して貢献し、環境、社会、経済などの側面において持続可能な発展を実践し続けることを目指しています。